ロケットボールズ、テーラーメイドが生んだイメージ巧者

 

テーラーメイドの「ロケットボールズ」(ROCKETBALLZ/RBZ)というクラブをご存知でしょうか。

いかにも飛びそうな名前であるこの名前のクラブはどのようなものか掘り下げてみたいと思います。

まず「ロケットボールズ」というブランドが登場する背景はどのようなものだったのでしょうか。

 

ロケットボールズとバーナー

 

もともとテーラーメイドにはロケットボールズの前に、バーナー(BURNER)というセカンドブランドがありました。

まず当初バーナーはシンプル、低価格路線で、割安感があるだけといった印象の事実上のセカンドブランドでした。

しかし、このバーナーというクラブも2007年からテーラメイド独自の戦略を開始しました。

当時のテーラーメイド主力ブランドのR7は可変システムを搭載しており、高品質高価格を打ち出しており、セカンドブランドのバーナーはシンプルで低価格であり、どちらをクラブを使うかはプロに委ねるというように大々的に打ち出して、どちらも主力の2枚看板的な位置づけにすることでバーナーというブランドは一躍人気となりました。

もちろん2007年のバーナーシリーズクラブ自体の出来が非常に良かったこともヒットにつながったことの一つであることは言うまでもありません。

 

バーナー売却、ロケットボールズ立ち上げへ

 

しかしテーラーメイドはこの人気ブランドとなったバーナーブランドを、2012年に他社に売却し、突然やめてしまいました。

そして新たに立ち上げたのが、この「ロケットボールズ」というブランドです。先程も取り上げましたが、「ロケット」と「ボール」という単語だけで単純に飛ぶイメージがあります。

ボールがまるでロケットのように飛ぶというイメージをブランド名にしてアピールするテーラーメイドのうまさが見られると思います。

技術だけでなく心理的にも訴えかけるということは重要です。

更にソールのスリット(溝)があることで更にゴルファーの心理的効果に訴えました。

これはアメリカでは人気のアダムスゴルフの考えた特許のもので、テーラーメイドはロケットボールズの発売と前後して、会社ごと買収しました。

 

ロケットボールズ、その機能

 

このソールのスリットが強烈にスプリング効果を生み出し、ボールの初速を出しそうなイメージを醸し出しています。(実際にはそのような効果はなく、ご存知のようにフェースの反発力にはルール規制があるので、余計なスプリング効果が出ていたらルール違反となってしまいます。)

 

この絶妙なネーミングセンスとソールのスリットがゴルファーの脳裏に絶大な飛びへの効果のイメージを刻み、ブランドイメージとして定着させたということにこのクラブの成功があったと思います。

しかし、テーラーメイドロケットボールズにはそのようなイメージ戦略だけではなく、飛ぶためのきのうがしっかりとあります。

まずロケットボールズフェアェイウッドのそのヘッドの大きさが挙げられるでしょう。

197cc(TOURモデルは174ccと少し小ぶりになっている。)という大きめのヘッド形状は、安心感があり、打ちやすそうだという安定感にもつながっています。

 

ヘッドが大きいということは基本的にヘッド内部で調整しない限り重心距離は長くなります。ロケットボールズの重心距離は32.25mmとフェアウェイウッドとしては長めとなっており、飛ばしたいと思うゴルファーにとって積極的に選ばれるモデルであると言えます。

そして最も大切な要素である、ヘッドの重量にも言及したいと思います。

ロケットボールズもそうですが、テーラーメイドのウッドは重量が重いものが多く、それがテーラメイドのウッドをつくることがに上手いメーカーと言うイメージに一役買っていると思います。

テーラーメイドはなぜかそのことを積極的には謳ってはいませんが、 ドライバー、フェアウェイウッドに限らず、数々の歴代のヒットモデルは全てヘッド重量がきちんとあります。

ロケットボールズもその例外にもれず、重量が214.7gとしっかりとした重量があります。

重いヘッドは基本的にはその分だけボールにより高いエネルギーを与えるということになります。

また、ロケットボールズは浅重心と低重心による低スピンになる設計となっており、飛距離が伸びると言われています。

スピン量が多いことは一概に悪いことであるとは言えませんが、もともとこのロケットボールズは、ドライバーが300ヤード以上飛ぶ人のために開発されたフェアウェイウッドになっています。

それゆえに、低スピンで打ち出すことを徹底的に意識している設計になっています。

ロケットボールズのCMに出てくるプロも、USツアーでも屈指の飛ばし屋ばかりが出演しております。

彼らの場合ヘッドスピードが速く、どうしてもスピン量が多くなってしまうため、スピン量が少し落ちるだけで、飛距離が極端に変わってきます。

ロケットボールズの+17y飛距離アップという宣伝文句がもここから生まれたのでしょう。

ロケットボールズのヘッドは、飛ばす要素を満たすように考慮された基本に忠実な設計であり、ゆえに単純に飛ぶヘッドとして設計されたものだということがわかったと思います。

 

ゴルファーの飛びそうという気持ちをくすぐるだけでなく、それだけでなく確固とした機能に裏付けられたテイラーメイドロケットボールズ、見かけたら是非試してみてください!